魚や片桐寅吉 リブランディング(ネーミング・コンセプトメッセージ・ロゴマーク)
新潟中央水産市場 - 2021.07
- ネーミング
- コピーライティング
- ブランディング
- 横田孝優
魚や片桐寅吉
食文化を、まいにちの食卓へ。
明治と大正の時代に、北の海を駆けた人物がいます。
北洋漁業家の片桐寅吉。
彼は魚を抱いた観音像を建立するほど、
海の恵みに感謝をしていました。
新潟の食文化に刻まれた
魚介をおいしく味わうための知恵と工夫は、
そんな先人たちからのプレゼント。
私たちは片桐寅吉の名前を受け継ぎ、
現代の食卓に合わせた食文化の楽しみ方を提案します。
おいしい物は、いつの時代もおいしい。
語り継ぐだけではもったいない食を、暮らしの中へ。
魚介類の販売・加工やピアBandaiの運営など、多彩な事業を展開する新潟中央水産市場。そのオリジナルブランドのリブランディングを担当しました。
当初いただいたご相談は、すでに展開していた「五代目寅きち」という自社ブランドの強化。今後企画しているラインナップ拡大や飲食店事業を視野に入れたものでした。
まずは五代目寅きちの特徴や展望、誕生した背景などをヒアリングしました。新潟中央水産市場の原点は、明治37年創業の「新潟鮮魚問屋」。太平洋北部の遠洋漁業で富を成した北洋漁業家の片桐寅吉が創業者です。五代目寅きちというブランド名も、現在の藤田社長が5代目に当たることに由来します。
五代目寅きちの主力商品は、新潟の郷土料理「鮭の焼漬」。そこで同じく鮭の焼漬を販売する競合ブランドと比較してみることにしました。
見えてきたのはルーツの違い。他社の多くが商人の創業であるのに対し、新潟中央水産市場の創業者は漁業家。つまり海と魚を知り尽くした先人によって築かれた歴史に強みがあるのです。
それを証明するかのように、新潟市中央区の東堀通にある吉祥院には、片桐虎吉が海の恵みに感謝して建立した「魚籃観音」が今も残されています。
ブランドメッセージは、新潟の漁業の歴史と豊かな食文化、その味わいが家庭が手軽に楽しめるという特徴を踏まえ、「食文化を、まいにちの食卓へ。」というフレーズに集約。北洋漁業家をルーツに持つブランドとしてのアイデンティティを表現しました。
さらにブランド名の改称も提案。「寅きち」→「片桐寅吉」とフルネームに変更することで創業者の存在をより明確に浮かび上がらせ、さらに「魚や」とつけてブランドの個性を表現しました。
ロゴ制作はクーナデザインの伊藤一善氏に依頼。看板商品の「鮭」と片桐寅吉の名前から連想した「寅(虎)」で構成しました。芯の強さと繊細さを両立させる伊藤氏のデザインによって、伝統を現代の食卓に届けるブランドの使命が表現されました。
魚や片桐寅吉は、旧邸を改築した飲食店が2020年にオープン。各メディアで紹介され、人気スポットとなっています。今後は商品のリニューアルも予定されており、ブランドはさらに展開を拡大させていきます。
課題
- メッセージを発信し、ブランド価値を強化したい
- 「鮭の焼漬」などで競合する他ブランドとの差別化が必要
プラン
ルーツである「北洋漁業家」に注目。海と魚を知り尽くす創業者の想いを受け継ぐブランドとしての個性を発信する。